退勤まで、あと40分。
この時間の長さ、ほんと異常。時空、歪んでない?
業務は終わっていて、追加の仕事もない。
でも「手が止まってる人」になるのは気まずいので、Excelをチラ見して、資料のフォルダをカチカチして、マウスだけ動かす“働いてる風”モードに切り替える。
その裏で、私は片耳にイヤホンをつけ、こっそりこのブログを書いている。
「会議音声の確認中です」って言えばギリギリ言い逃れできそうな設定。もちろん、そんな音声は存在しない。
斜め前の席ほうから、エバンスをカンッと叩きつける音がした。
わかってる。ただの作業だ。
でもこのタイミングは、まるで「お前、仕事してるか?」という音の圧。
いやいや、これは自意識過剰。わかってる。でも、刺さる。
お昼前、社長に「休憩入ります」と声をかけたら、返事がなかった。
え?無視?え、昼に提出した技工物まずかった?
抗議の沈黙?ハラスメント?と被害妄想の大嵐。
「気のせいだよ~」と心の誰かが言うけど、それはそれで本当に気のせいなのか不安になる。
毎日、心の会議室は満室である。
そしてこのブログを書き終えた瞬間、時報が鳴った。
制服を最速で脱ぎ捨て、誰よりも早く退社。
華金。予定はない。でもミッションがある。
アップルパイを作らなければいけない。
冷蔵庫に、消費期限間近のバターがある。
だからアップルパイを作ろう、と思っていた矢先、
母が「リンゴ、そろそろなくなっちゃうから買わなきゃ」と呟いたのを聞いて、私は思わず言ってしまった。
「あ、じゃあ私の分もお願い。アップルパイ作るから」って。
別に今日じゃなくてもよかった。
でも、母はしっかりリンゴを買ってきてくれて、
しかも昨日、そのリンゴを剥いてくれていた。
土日は彼女と会う予定がある。
今日しかない。今日作るしかない。しかも、生地から。
そういえば来週、幼なじみの結婚式がある。
ドレスは買った。けど、それ以外は何も用意してない。
バッグ?靴?アクセ?全部、未開の地。
乾杯の挨拶を頼まれているけど、当然、原稿もない。というか、考えてすらいない。
なぜって、気持ちが全然乗ってない。
まず、彼女と行く予定だった洞爺湖のイベントと丸かぶり。
それを伝えたとき、幼なじみ夫婦から返ってきた言葉がコレだった。
「え〜、リモートでイベント参加すれば?」
…何を言ってるんだ。イベントって、リモート可なやつだと思ってるのか。
ライブでもフェスでもない。体験ありきの現地イベントなんだが。
あと正直、「結婚式はしない」って言ってたからお祝いも先に渡していたのに、あとから「やっぱやることにした〜!」と言われた時の気持ちは、未消化のまま胃の奥に沈んでいる。
もちろん、本人たちが楽しそうで幸せそうなら、それはそれでいい。
でも、こっちは勝手に消化不良を起こしている。
お腹の調子も、気持ちも、不安定。
ちなみに先週は父の日が近かったからという大義名分で、
これまた消費期限切れ寸前だった生クリームを使ってロールケーキを作った。
なんか最近、冷蔵庫の期限に追われてスイーツを作らされてる気がする。
そんなわけで、今日の華金もお菓子と義務とちょっとしたモヤモヤを抱えながら過ぎていく。
でもたぶん、アップルパイはうまくいく。
それで今日は、よし。
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